【遺贈】
遺贈とは遺言によって遺産の全部、または一部を相続人他の者に無償で譲与することです。
贈与と似ていますが、贈与とは生前に贈る方ともらう方が合意しておこなう契約です。
遺贈は遺言による一方的な単独行為であり、遺言者の死亡によって効力を生じます。
遺贈には包括遺贈と特定遺贈があり、包括遺贈とは遺産の全部、または2分の1というよう特定遺贈とは、財産を特定してなされる遺贈をいいます。
【遺言内容の効力】
遺言により法律上効力を認められる事項は、おもに民法により限定されています。
その主な事項は、遺贈、相続人の廃除、相続分の指定または指定の委託、遺産分割方法の指定または指定の委託、遺産分割の禁止、遺言執行者の指定または指定の委託などです。
その他にも認知、後見人の指定、遺言信託などがあります。
遺言にはこれらの事項のうち必要なものだけを記載すればよく、ただ「兄弟で仲よく」とか「葬式は簡素に」などと書かれている遺言書は、法的には遺言書とは認められません。
また、遺言書に法律で定める事項以外のことがあわせて書いてあった場合は、法律で定める事項以外の内容については法的な効力がないだけで、その遺言書に書かれている内容の全てが法律上無効になるということはありません。
【遺言の方式】
一般的な遺言の方式には、次の3つがあります。
自筆で遺言書の全文を書き、これに押印する方式の自筆証書遺言。
公証人に作成してもらい、公証人役場に原本を保管する公正証書遺言。
自ら作成した遺言であることを公証人に公証してもらう秘密証書遺言。
自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認手続きが必要です。